はじめから手遅れ/ホロウ・シカエルボク
 

ぼくにしてみればそれはとても上手く行っているように思えたし、彼女にしてもそう考えていると感じていた。でも、こうして突然ぼくの前から消えたということはきっと、ぼくの方になにか問題があったのだ。そこに疑うべき部分はなかった。他人との関係性に関して、ぼくには非常に希薄というか、まるで興味を持たないといってもいいくらいの感覚があり、そのせいであまり誰かと深く関係を持つということがなかった。それでも何人の人間かはぼくという存在にどういうわけかひどく興味を持ってくれて、友達になったり恋人になったりした。彼女は特に果てしない藪を丁寧に擦り抜けるみたいにぼくの深い部分にまで接近してきたので、お互いに深い信頼関
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