はじめから手遅れ/ホロウ・シカエルボク
ングにも、彼女は何も残していかなかった。それでぼくはこれはマジなやつだと思って、何人かの共通の知り合いに連絡を取ってみた。誰一人彼女の居場所を知らなかった。あるいは、知っていてもぼくに教えようなんて考える人間は居なかった。自分が知っている限りの彼女の友達にも連絡を取ってみた。その結果分かったことは、ぼくはあまり彼らに好かれていなかったのだということだった。彼女たちの言葉の端々に、ぼくを嘲笑するような響きが隠れていた。おそらくはぼくの方に問題があるのだろう。思えば彼女たちが家に遊びに来たのは初めのうちの数回程度だった。ぼくの両親はすでに他界していたので、彼女の実家の方に連絡をしてみようかと思ったけれ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)