はじめから手遅れ/ホロウ・シカエルボク
頼関係の下、夫婦になったはずだった。ぼくらの生活は、ぼくの叔父が持っている古い日本家屋で始まった。叔父は少し障害があって、ホームの方で世話になっていた。とにかくどんなことでも溜めずに話し合おう、生活を始めるにあたってそれだけがぼくたちの数少ないルールのひとつだった。どんな小さなことでも解決するまできちんと言葉を交わしたし、そのたびにぼくらの中は穏やかなものになっていった、はずだった。それがまさか、四年目にしてこんなことが起こるなんて、それはとても馬鹿げていることだった。居なくなった、と気付いてまず最初にぼくがしたことは家探しだった、彼女の寝室(ぼくたちは寝室をそれぞれ別に持っていた)にも、リビング
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