鉄で出来たアパートの小さな部屋/ゼッケン
と垂れる
おれが脳で考えていたのは生きていた時だけだ
いまから思えばおれは未熟な父親だった
頭頂に半ばめり込んだハンマーを左手で掴んで男から取り上げる
男をハンマーで滅多打ちにする
謎などない
循環する時間では問いが答えだ
殴り疲れたおれはハンマーを放り出し、顔が原型をとどめていない男に吐き捨てる
これだ。ばかやろう
右手が使えないおれは息子のロープをほどくことはできない
後は自分で目覚めるしかない
一度目は助けた。次は自分でがんばれ
おれは父親としては甘い方に違いない
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