しまうまの背中のほとりから/入間しゅか
しまうまの背中のほとりから
ぽとりぽとりと
鳥がしたたり
私は保健室にまたがる
星と星を繋ぐ線の上
補助輪の外れた犬が
がーがーきぃーきぃー吠えている
森を抜けると
海があり
ここが島だったことを
思い出した
墜落したヘリ
舳の曲がった船
唐突の雨
「いたいいたい」と
虎落笛が呼んでいる
カーテンを開けなくちゃ
来世には間に合いますように
ずぶ濡れの蜻蛉みたいに
水たまりで雨宿り
帰る家を忘れた身体
両手でぎゅっと
抱きしめた
しまうまの背中のほとり
もう鳥はいなかった
保健室は真っ暗で
着飾った私だけが
ぽっかりと浮かび上がっいた
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