母が歩いた道/ホカチャン
母を思うと
いつもおだやかな顔が浮かんでくる
黙々と大地を耕し種をまき作物を育て
三人の子どもを育てた
どんなに親父が口荒く言おうとも
大地のように耐えた
冬寒く夏暑いこの地で
貧しいながらも幸せな家庭を築いた
村一番の美人で働き者でやさしい母が
どうして親父と結ばれたのかは
みんなの疑問だった
両親を早くに亡くして
親戚の家を転々としていたから
という人もいたが
夫婦の縁の不思議を思った
その母が
珍しくちょっと入院して
退院するという日に
突然病院で亡くなった
十九歳で僕を生んで
六十九歳で亡くなった
なくしてみて身にしみてよくわかった
母の愛
生前に一言
「ありがとう!」を言いたかった
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