親父に捧げる詩(うた)/ホカチャン
僕は親父が大の苦手だった
農業一途の働き者だったが
説明しない人だった
子どもの頃仕事中によく怒鳴られたが
そのわけを説明しない人だった
怒鳴られたわけがわからなかったので
いつも僕は不安を抱えていた
親父が田畑から帰ってくると
同じ屋根の下にいられなくって
近所の祖母の家に逃避していた
やさしく元気者だったおふくろが
突然亡くなったときには
さすがに親父もこたえた
いつも口荒く命令ばかりしていた親父であったが
おふくろが亡くなってからは
泣いてばかりだった
親父も泣くんだと思った
それでも
子ども、兄弟、友だち、親戚、地域や施設のみなさんに
支えられて
十年ひとりで生きた
僕が千葉から電話すると
「早く帰ってこいよ」が口癖だった
まもなく親父の初盆が来る
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