裂けめ/soft_machine
裂けめ
豊かな人たちが
膨らむ泡みたいに
いずれ消えさるという
真心を疑い
問いを費やし
夕ぐれに貼れたラジエーター
舞ってるのかい君は
煙膜につつまれた雪片
見晴らしの丸み
はためきながら見まもった五秒
そんな感情の鈍磨はいらない
灰いろの空に生えて
冬いろの葉
あらゆる裂けめへ
まっすぐ飛びこむの
翼がある
別れも惜しまない
この小径から現れた
夕ぐれ扉がひらかれる って
色や
声に
たよる輪郭をすて
応えるひかりすべてに
つづく扉がおかれ
くぐるたび枯れ
焼かれ
生硬い靴が
履けなくなってもきみだけを
ここに起こる約束を見まもるかい
布の織りめが
広がりきって
意識は今や諦めない
もう、すこしで喰えるし届く
あとすこし裂けて
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