夜の街/
 
暮六つの宵闇の中に聞く

街の静かなざわめきのうねり

あぁ、夜は街を慰めるために

街は悲哀を和らげるためにあるのだ


理屈では説明できないことがある

雨の夜の街の邂逅

店の軒下の影の涙跡

外れの河岸で聴こえる歌声

苛立つように流れるエンジンの音


時は経っていく

移り変わりはあるのだろうけど

街の苦しみを抱いてくれるのは

夜以外にはありはしない

眠ろうとする街のさざめきだけが

謂われない哀しみを癒せるように

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