人々のある日/◇レキ
 
ボットを見て
「まだまだこれからだね」と、にこやかに笑う

椅子に座るだけのノータリンの胸から
消化不良起こしたギトギトの虚しさがあふれてくる

それを見て
「あら、油さしすぎたかしら?」
と、老母が不思議がっている







彼は正面から見ればなんてことはない
普通の人に見えるけど

その実、後ろは竹がむき出しで
生ごみとか藁とか引っかかっている

彼は突っ立っている事しかできない
惨めさや退屈、孤独やらから目をそらして
何もなくなった心で秋空を見ている

彼はしゃべれない かわりに
からす避けのスピーカーがついていて
死んだじいちゃんの怒鳴り声や
ぼそぼそした話し声を垂れ流している


暇を持て余した女の子が
つまらなそうにゲジマユをハの字にして話を聞いている

じいちゃんの声が
作っていた野菜の話をしている

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