ずっとは/やまうちあつし
 
ずっとは続かない
この音楽も
あのため息も

時に染み込む
風の匂いや
夕焼けの橙
着古したパーカーに

ずっとは続かないのだ
そのいたみも
かの光も

どこにも行けない
ことに気づいた
そしてどこにも
行く必要がないことに

立ち去るまで
あと何億秒
その砂浜の上を
裸足で歩いていく

君が君になる前から
見守っていた人がいる
けれども
星の光が届くころ
その星はもういない

ビニールプールで遊んだことも
病室で黙りこくったことも

ずっとは続かない
だからおはよう

戻る   Point(2)