万障余暇/あらい
 
か細いベンチの上よ。ワタシは、朱に錆びて卑屈なほど風を透す。
ただそのうえで踊る枯れ草の華麗なころを想う。
永遠の晩秋を胸に点し尽くす。それだけの季節がまた現れはじめていた。
すきではない 待ち遠しい訳もない 寒く厳しい冬が
もうすぐそこまで来ているのに、
嬉しい訳も楽しいこともない。
だからこの心に準じて自然と戯れる。散り急ぐばかりに
躍り狂わされる、ただひとときの綻びに持て余した、口笛など
呑気にもかましているかのように、この耳に届くものを
胸に灯しながら。はらはらりと音している。


  万障余暇

ナナイロのシオの 傘をさす
またツユの フユに対(むか)
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