深紅の繭が孕む熱が/ホロウ・シカエルボク
 

断続的に途切れる眠りの中で意識は夢の中で迷子になった、天井が、壁が、床が、ねじの回転によって歪められていく、鍋の中で粘着いていくカラメルソースのような渦の中で、内臓になにかが捻じ込まれるような感覚を覚えている、夢と現実の違いなどなかった、初めからきっと…俺はそのへんの連中よりはずっとそのことを知っていたし、だからこそその境界に強く惹かれた、そのこと自体は正しいとも間違いとも思わない、ただひとつだけはっきりと言えることは、いまのこの歪みは、その選択によってもたらされているのだという事実だった、観念的な息苦しさによって俺は喘いだ、もちろん、それが夢の中であるということは分かっていた、でも、これはき
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