クーゲンドルにて(二)/朧月夜
「なりませぬ。エランドル様とは、対話すべきなのです」と、オーマル。
「話し合いだと? 俺には馴染みのない方法だな。剣以外に、
何をもって勝敗を決する手段があると言うのだ。俺は力づくでもって、
虹色の魔法石を手に入れる。そして、エインスベルを救う」
「エインスベル様が救われることは、事の初めから定められていた通りです。
あなたが戦おうと、戦うまいと、その結果は決まっております。
ただ、今はエランドル様の訪れを待ってほしいのです。
エランドル様は、自らが認めた人としか、お会いにはなりません」
そう言うオーマルの脳裏に、かつてこの世界を訪れた、
オスファハンの面影が去来していた。虹の魔法石を手に入れた一賢者。
彼は、ヨースマルテという世界を救う者の一人であった。
ここ、クーゲンドルは、そこを訪ねた者を試す、ひとつの試練の場である。
千のドラゴンが棲みついている、魔界でもある。その世界に処する準備をさせようと、
オーマルは彼ら、ヨラン一行の心を導こうとしていた。
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