明るい闇の中で(三)/朧月夜
 
「おかしなことを言う。だいたい、なぜお前がここにいる?」
「それは、わたしが牢から放たれたからだ」
「それは誰によって? そこにいるエイソスではあるまい」
「そうだ。エイソスの手によるものではない。しかし、それが問題か?」

フランキスは笑った。笑わずにいられなかった。
祖国を滅ぼすと言われた女魔導士が、今自分の面前にいる。
しかも、それは己の敵対者であるアイソニアの騎士のパートナーだ。
いや、かつてはそうであった。ライランテ戦争の功労者にして、罪人。

フランキスの認識は、そのようなものであったのである。
自分が滅ぼすべき存在が自分に命令する、これほどおかしなことがあるだろうか。
フランキスは、再び鼻で笑った。

「何がおかしい? 汝の運命は、今我が手にあるのだぞ?
 このエイソスの妻を攫おうとしたことも、わたしは知っている」
「ふん。少し考えれば分かることを、誇って何になるというのか?」
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