砂漠のパラドックス/暗合
 
たまに孤独を感じることはあるが、しかし、そんなときには砂漠の写真を眺める。空が闇に侵された下で、砂漠は、月明かりに銀色に興奮している。僕は、そうすれば、孤独から逃げられる気がする。理由は分からない。もしかしたら、そこが僕の本当の居場所なのかもしれない。写真には砂漠の果ては映らない。しかし、そこにも人はいないだろう。永遠に人間が欠落した世界。僕が行っては壊れてしまうだろう。だから僕は写真を眺めるしかない。だが、僕には孤独でない場所があるのだ。

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