夏の後ろ背を蹴る/ひだかたけし
は 解らない
わたしは
表現という己の生身の生命の湧出を媒介として
表現という己の生身の剥き出しの魂のカタチを媒介として
他者の読み手のあなたの
たましいの深みにアクセスしたい
だけ
*
わたしは舗装された道ではなく
その脇に広がる密林のヌカルミを
歩く、旅する、進む
深く深く導かれるように、迷わないように
闇の工員に呑まれないように
瞑想ではなく直観的思考という
魂の深みをまず探索して
*
静けさが静かさが今の私を取り巻く
肉の苦痛の忍耐の最中に在って
静けさが静かさが私の底に沈んでいく
*
土手の草木は
熱い風に揺れ
彼岸花はまだ開かない
夏の後ろ背を追いやったはずの
秋は
何処へ
いったのだろう
*
今日という一日が混沌と渦を巻く
光をアナタを絶えず欲望し
わたしは
唐突に再来した
夏の後ろ背を思いっ切り蹴る
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