リュート/妻咲邦香
 

干し草を積み上げて小刻みに揺れながら
走る軽トラみたい、知り得ない生き方
不意に近付きすれ違う
同じ約束を抱えて巡り会えた
私にはまだ解けない数式
軽々と正解、撒き散らして去る
砂埃と共に

それでもね、はしゃがないって決めていた
覚めたくない夢に続きは用意しない
やっと見つけたものが怖くて震えてるから
まだ触れないで離れて見てる
泣いた日のこととか、後で話して聞かせてあげる
明日ね、まだ君がそこにいたらね

いつかなくなるものしかないから、残すことに躍起になるんだ
さよならまでの距離を測って
出来るだけ伸ばして引っ張って飾って
最後はぐちゃぐちゃになるように、なるべくね

どうしてみんな、あの丘を越えて
そうしてみんな、悲しみだけ置いて
この世界ちょっとだけ不公平に出来てる
誰も一番の味方に気付かない

お早うの秘密を隠した、中途半端に長い髪
古楽器みたいになびかせることで
揺さぶりをかける
走り出してる背中が見える

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