しがらみのふるさとに/山犬切
ニートだが闘う意志は萎えていない 変っていこうとする意思も衰えていない それどころかこのファイティングスピリットの火ばしらはますます強く太くなっていく気味さえある 僕は自分を慰めながら戦う プラスチックの森で綺麗な火事を起こしてやる 僕は横になっている状態をやめとうとう立ち上がった 僕は子供部屋のカーテンを引き窓を開き入ってくる12月の冷んやりとした空気に立ち向かってファイティングポーズをとった そして「殺し屋1」でイチが新宿歌舞伎町にぶっかけたように、僕もこの町、このしがらみのふるさとに精液をぶっかけてやる! と決意し威張りながら叫んだ 空に突き刺さったような灰色の電柱も、殺風景な家根々々も、コンビニへ行くまでの道に植わっている葉桜の一本一本もみんなまとめて精液まみれのベタベタにしてやる、と すると外の町で雪が降り始めた 天使の精子のような綿雪が降った… 君はどうしているだろうか 別の町に住む君にもこの雪が届くといい そう愛を込めて想った
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