秋風/soft_machine
 
欠けた
風の赤い器

人の形に
ほつれた糸

君はいま、何処にいる
手を伸ばしたら触れられる
忘れ形見を
いつも優しくできたなら

かじかむ蛍光管
この薄いセロファン
色からにおい
雪びかりを吸いまるめ

思わず口ばしった友の名は
夢か霧
欠けてほつれ、淡いしみじかい

君は
いま
何処にいる
秋の町は豊かなのに淋しい

かわく風鈴を見あおぐなみだ
傍らのあたたかい空瓶


戻る   Point(1)