朱天黒/あらい
朱天黒の篝火が爆ぜる
目眩の中で炙られる白昼夢の散弾を集めた
贄に均しい極熱、滾るような炎天のまばたき
吐出を嵌めた雪月花を、身に埋めたような心地で
のぼせ上がる四季を撫でてしまえない
過呼吸の入道雲から、むわついた体に粘り
帆織り込まれた虹の、滾るようなシャボンを見た
なんどもぬくもりを与える警報の空のくせに
ほったからしな海水浴場に、束縛のない蝉が啼く
重苦しい夕立に、
曇天と熱波が灰を降らせては
拝をあたえるなら、
その肺で思いのまま羽根を貶して
重しを外しなさい、
風鈴はどこまでも叫びの夢を与え
寒々しく網に絡まれた、
蝶蛾の姿を、蚊帳の外で眺める
あんたはもうすでに首を刈られた向日葵でしょうと
麦わら帽子は知ってるの、
夏枯れに纏い点かれたその日を。
その陽よ、
苑秘は何処に向かい合わせば、
出会えるのか
祖の碑にたどり着くのか、
今だ、未だに、割れるように
けたたましい傷口が、跡を惹くような、指を這わせる
覚束ない胸騒ぎを抱いた、色褪せぬ夏を切り取るだけで
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