子供のかけら/竜門勇気
僕らは僕らの血の話をした
指先を切った僕を見て
君はかさぶたを剥がして笑っていた
”すごい!見て!同じ色”
あの日、君が剥がしたかさぶたは
僕と遊んでいた時にできた
鉄棒に登ってほんの少し違う校庭を見ていたとき
”ほら!屋上に誰かいる!”
君は振り返りながら指差して
僕と目を合わせたまま落っこちた
笑顔のまんま
”ほら!屋上に誰かい”
る、のあたりで
甘ったるい放課後の香りがした
あのこがはしゃぐ声がしていた
実は僕も好きだったんだよあのこ
泣きじゃくりながら必死で膝を押さえて
指の間から垂れ落ちる血を見ている君を覚えてる
君はキリストみたいだった
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