空/
妻咲邦香
私はあそこに住んでいた
だから帰りたいと思うのだろう
いつか
いつの日にか
元の姿に戻って
愛しい人と再び会って
帰って行くのだろう
懐かしい家に
言葉も忘れて
静かに漂いながら
消える運命さえも受け入れて
廃駅のある町で
小さな種を握りしめる
予報では午後から雨
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