数えられるもの/片野晃司
 

あの空の下からあの空の向こうまで、なだらかにせりあがりなだらかにくぼみながらどこまでも続くみどりの丘、その丘を白くつぶつぶと覆いつくすほどのあの羊たちがいっぺんに、シーツをめくりあげるように消えてしまうなんて、ほんとうはそんなことはないのだけれど。

道に沿って両側にはマーガレットがどこまでもどこまでも続いていて、そんな道を銀色のレンタカーで走っていって、どこまでもどこまでもマーガレット、日が傾いて月が出て夜を越えて朝日が射して、ずっとずっとマーガレット、そんな道を銀色のレンタカーで永遠に走っていくなんて、ほんとうはそんなことはないのだけれど。

数えられるものは弱い。昨日は何人、今日
[次のページ]
戻る   Point(17)