頓は白い蛇/あらい
 
日常の流れは緩い朝な夕な
壁に孔を拡げ 雫が吹く

濃淡の斑雪 朱と碧に菌を誑した
蝶々の足を掬う 縁取りを押して引いて
錘の中にこっそり少女を飼っています。
まだ眠りも浅い、花札ノ白夜のことです
散開した透明でまんまるな月が、瞳を細めて
線の波は爪痕と。とろりと浮沈し
溢れたときの

空白になるのは、厭だった それでは――

力が抜けた背筋の、渦状の惰性が
劣化した嗚咽のことだと、待って
楽園を啜り上げた感情が、舞って
海図なき航海へ 手鳩がやってきて
朱く葦の棘た氷海へ 未里ほどの蜘蛛に
己の腹を食い破りなまっちろい蟒蛇が
この首を締め上げる 草花の陰にあ
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