【批評ギルド】『壁』丘 光平/Monk
の女性恐怖症はその後登場するやたらフレンドリーかつ活発な女の子
に長い坂の上から捨てられていた乳母車に乗せられてふもとの茂みにダイヴし
たことによって氷解したわけですが、そんな話をここに書いている場合ではな
い。つまり、この作品に書かれている面倒なメカニズムが完成してしまった世
界において、それを氷解させるきっかけのようなものが必要なわけです。嫌で
しょ、こんなのがずーっとは。
その氷解の兆しは作品の最後に書かれています。
> レモンの酢えた香りが流れた
ここからです。いいですね。救われた気がします。いくらなんでもずーっとあ
のまんまじゃね。
全体はわりと観念的な文章でなんですが、それでも一貫するロジックがあるよ
うですし、読みやすいんじゃないですかね。そしてこの締め方でお話としての
おもしろみが加わったと思います。体温が感じられるようになった。最後の一
文は、僕なんかはちょっと笑いましたね。そこまでの、どちらかといえばシリ
アスなイメージ世界から一転して、Fight!って感じで。次号から急展開!って
感じで。
戻る 編 削 Point(7)