曇間と門前/木立 悟
 




午後を歩き
空を吸う
斜めの鉛芯
やっとひとつの島を巡る


空から落ちる花の軌跡
声はずっと声のまま
水たまりの上を旋回し
宙に桃色の輪を描く


雨の明るさ
影の蒼さ
最初の一滴を受ける勇気
自身のかたちに切り抜かれる午後


径の端に
宵のかけらがころがり
傾斜をのぼり
曇間へと歩む


夜とさらに濃い夜が
空を二つに分けたまま
街の向こうへと沈みゆく
わずかな わずかな掛け声の遅れ


虹を雷雲を越えるうた
人影は雪を過ぎ何処へゆく
枯野に浮かぶ流木の舟
誰もおまえを止めはしない


まばたきとまばたき
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