擬鳳蝶蛾/あらい
 
燭の芯
そのふくよかな呼吸のまた
連続した事に至る悼みと痺れが
つきあかりに足を伸ばし
短くはじめる
あてのない
散歩している、かのような、
空室の三方を のんびりぶらぶら
ガワのほとりの重苦しい言葉数の 
慕情の突き止められた、かなしみを
野に放おって 板の目を 錘(つむ)。
纏わりつく擬鳳蝶蛾の
苦い笑いがまた、珍妙な
ちぎれ方を翌晩
匂わせることになる

〈空漠の道化〉

演目は色鮮やかに撒き散らす上品な態度で障子に壁に 念に尖る影を、
粗熱は他を欺く ハンケチは――抓んだ胸中は研ぎ澄まされた迷想乱舞と
向こう側に移る(雨音に弾く薄曇りの夜想曲)手出しされた原案は
口パクの時期を見計らい、処女星の集まりは明かさない、ぬくもりとされ、
食い荒らされたような間は置かず、点状に天壌へ色濃くして。まだ
ひ弱な蟲の軽口と風雲を本の扉に翻す 人目を引く形状と保つ砂金の
恨めしいだけの誤読、空色と暦通り沈黙する 吹き溜まりから。
息が上がる、急かされるように 手を腹に重なり、見下したような
筆墨で、冷たい総模様を施されたのでなければ。
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