指先の輪廻/ホロウ・シカエルボク
 
っとそのせいさ、肉体の歪みが精神に作用するんだ、天秤座のくせにさ―バランスがあらかじめ崩れているんだ、歪みは、歪みを呼ぶ、内奥に、周囲に…俺は始めそれを矯正しようとしたが、どこかでそれが間違いだと気付いた、歪みは、歪みとして語られるべきなのだ、だから俺は、詩を綴り始めた、俺が詩を書き始めると、血管のあちこちに沈殿したガラス片たちが、まるで綴るリズムに乗るみたいにカチカチと合いの手を入れるんだ、それはもう嬉しそうに…その音を聴きながら、俺は思いつくままに言葉を投げ出していく、俺は、歪みを受け入れると決めた時点で知ることが出来たのだ、定規や水平器などの尺度ではない、存在という尺度に…それはどんな異常も
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