【批評ギルド】『明々後日が、誕生日の男』松崎貴子/Monk
に自分がいる位置の奇妙さ、というのが興味深いん
だと思います。
僕らのような第三者から見るとピンと来ないのも当然なんですけどね。マリ
ファナじゃなくてもいいんですが、例えば酔っぱらいハイになってる人を眺め
てても別にこっちまでハイにはならないよね、ってところです。
ただワタシノ・セカイニ・ヨウコソと招き寄せられるような部分というのが少
しあって、最後に「あなた」と呼びかけられてる感じもしました。増殖する
舌ってのがピンクで艶めかしくて、それを見つめている話者の瞳ってのにふら
ふらっと誘われるような。ほんの少しなんですけど。
単純に言葉の威力だけだとそのくらいですね。「やばい、もってかれる!」て
ところまではいかないですね。先に書いたように実際の風景は普通っぽいので、
こっちにも余裕がありますし、この作品自体、そんな「圧倒する」ようなマ
ジックを仕掛けてきてるわけでもないのでしょう。ちょっと煮え切らないと思
いつつも「練って 落とす」ってところは僕はとても好きですね。機械的な作
業と生々しさがあって。
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