私はあなたの静脈です/竜門勇気
 

八月になった道の上を
大きなネズミが歩いている
時々空を見上げて居眠りをしてる
気になってみてると
ネズミは汗を拭ってこちらを振り向いた
鼻を小刻みに震わせて僕に言った
”私はあなたの静脈です。”
ぼくは静脈と出会った

ブランコを揺らしながら
公園のなかの芝生を眺めた
「普段は何してる?」
”スロット。でなきゃ寝てる。”
「やっと会えたね」
”それ、私に言ってる?”
ジョークだよ
「ちょっと歩く?」
”もう、静脈は歩かない。”
ネズミはいつも気難しい

生ぬるい噴水の水が
十三時を記念して吹き出した
風が淀んで、動いた
小さな粒が日陰を目指して揺
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