六月のうた/soft_machine
 
ゆびとゆびを十字にからませ
空をうけとめる傘の波動
ほのおを消すたび
交差点でくるっと回った

遠くにあるように思わせて
ちょっと手をのばせば届くところに隠す
山鳥の歌声を学び
生来の臆病さをいつわる心を飼ってきた

きみのことだよ真珠母雲
そうわたしに伝えた者は
父ではなかった母ともちがう
あまくてまあるい繭
かなしみははずみで何にでもなれる

歌をふらせたり
歌をやませたり
六月の雨は何にでもなれる


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