名前は/12565
 
吐き気が充満した場所に、そんな事を聞いてくる。
「あぁ? なんだそりゃ」
「いやさ、その……君が僕を殺そうとする理由だよ」
「は?」
何を言っているんだコイツはと思いながら、俺は口を開く。
「だから、お前を殺すのに理由はねぇって言ってるだろ。気まぐれで殺そうと思ったから殺すだけだ」
「じゃあさ……」
そこで一拍置き、俺を真っ直ぐ見つめて男は言う。
「君はどうして泣いているんだい?」
「…………はっ」
思わず笑ってしまった。
この男がなにを言いたいのか分からなかったからだ。
「何笑ってんだよ。僕は真面目に聞いてるんだけど」
「いや、悪いな。だがよ、お前には関係ない話だぜ」
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