手紙6/武下愛
 
おもいでばかり、ぽろりぽろりと、なみだをつたえていくんです。あなたをおもいだすたびに、わたしはさむくなってしまいます。ながねんおもっていたのは、じぶんがどれだけめぐまれていたかを、おしえてくれたあなたを。わたしはいまもむねにいだいて、いきています。もしあなたがおなじきもちであると、いいなとおもいますが。わたしがおさなすぎるので。あなたににあうひとにはなれそうにないです。おさなさだけがまだのこっているんです。わけあたえることがすべてなじぶんです。あなたをじゆうにするというめいもくで、じぶんがじゆうになりたかっただけなのだと、おもっています。しばられることもあるけれど、それだけのおもいがあるのだとおも
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