獣臭/山人
 
が、そういった類の境遇を恨み、神を恨んだ。そんな私の命を私自身が守りたいと必死に願った。熊との遭遇は、まさにそんな瞬間であった。
 自然の中のほんの一コマなのかもしれない。たぶんそうなのだろう。明日になれば忘れてしまう事柄でしかない。熊も私もいっとき互いを意識し、怯えただけに過ぎない。あれから熊は餌にありついただろうか。
 私(達)の求める餌はとても複雑だ。もっと単純になればいいのにと、思うのである。
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