獣臭/山人
とにしたのである。
全長二十五キロメートル以上の登山道の連続であるが、通常の一般登山道に較べると整備は悪く深山の連続で、人気から隔絶されてる。携帯の電波も一部分しかないため、トラブルは一〇〇パーセント回避しなければならない。
山道は予想通り番屋峠付近から雪がまだ残り、その下の比較的緩やかな地形には数百年を超すブナの原生林が横たわっている。なにか、微妙な声を察知し、よく観察すると、猿の群れが居た。かまわずホイッスルを吹くと猿は一旦は逃げるが、私の正体がわかるとまたいつものペースで何かを探しているようだった。
ブナ沢は天然ダムであったが、土砂が堆積し、沼地は消滅してしまったようだ。その近く
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