破壊筆記/soft_machine
 
の皺だらけの指の網が
息を潜める
わたし達を暴きだす

伸び縮みする生き物を
水たまりに落とすと
干からびるまで
発火する黒点の群れが
肺を充たした
続くちいさな焼け跡のかおり
吹雪のような唄声で
踊りながら
ことばを択べない落日を叫ぶ
昨日も今日も
不思議なことに
きっと明日も

息のあった友人が
遠くでグラスを傾ける音がする
堅い絨毯を織り成す
慰めを
優しく
緩めながら
おいでおいでを仕掛ける
鏡の中の知らないあなた
右は右のふりが得意だが
左は左のままが巧み
かつて宇宙を洗った産湯だけ
バッハの渦巻く窓辺にも豊か

いつか蘇るだろうもうひとつの響きも
無限に閉じこめられた粒子を纏い
細りながら
待ちわびながら
最後の無言に収斂するのか
子どもらの歓声に目覚める
危うい均衡を愛する勇気に溢れる
どこまでも転がる玉の中
それが始りなのかも
知れないなと笑って


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