破壊筆記/soft_machine
 
しおざいが
泡だつ風紋を散らす
どこかへ向けたわたしの耳は
造り手が去った
からっぽの巻貝や
やわらかい吊鐘に似ていた
きらきら膨らみながら満ち
ひかりを吸いつくす
波の訪れを聴いた

水平線の丸さと
蒸気の丸さについて語れる
見えない身体のよろこびについても
声をたよりに
突風に支えられ
橋の身をかたむけ
肌の奥まで映す人影が
とおくて深い波
くらい眼差で
偽りの抱擁で
痛みや震えを伝えられるって
こころはそれとは違うって
そんな幕間劇
星は縄をぬい
虫は粉をひき
思い出しながら忘れ
感情を挿す器をならべる
無感情を削り取る者がいて
その皺
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