断層の誕生/ホロウ・シカエルボク
 

思うに俺は、生まれてすぐに、育つはずのない骸の中に押し込まれ、どういうわけか上手い具合に育ってしまったというわけだ、ある初夏の午後、歪み木細工の椅子に沈んでぼんやりとしていた俺はふとそんな考えに行き当たった、奇妙なほどに性急に夏がやってきたみたいな年だった、少し身体を動かして、ゆっくりと弛緩させているところだった、おそらくは十にも満たぬうちから、俺は自らに死がつきまとっていると感じていて、そして、それを怖いとも思わなかった、それが当たり前であるとどこかでわかっていたのだ、どうしてそんな子供だったのかということについては、以前に何度も語ったことがある、簡単にいえば、生まれてすぐに何度も死にかかっ
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