スモールライト ディレイ・ディレイ・ディレイ/竜門勇気
 
なものはいらないよ
あんたはどうなの?

朝になってひどい憂鬱に囚われながら
歯を磨いているとき
世界でいちばん偉い人物になってるような気がする

何度やっても玄関で靴紐が結べなくて
靴紐が結べられることが怖くて

どこにも行けなかったあのとき
僕は僕が終わるための大事な第一歩を踏み出したように思った
小さなものが大きく見えた
大きな存在があることがわかってて
それがなぜか無意味に見えてたから
なぜだ?わからない
宇宙があることがわかっていながら
空を見上げているようなものかもしれないし
全く見当外れな静止かもしれない

どこにも行けなかったあのとき
僕は
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