気がつくと/soft_machine
気がつくと
わたし
誘蛾灯でした
あなたがやってくる
くらい小部屋の
軒先の放電
あなたがたの
したたかな逢瀬を
確かめる燐光となって
窓べから窓べ
枯れ井戸をさまよい
つづく別離を見ている
気がつくと
わたし
プラスチックのお皿の上で
おおきな音を立て
乾いてゆくゼリー
あなたは銀の匙
それはあざやかな
ゆがむ世界
わたしはひろがる網
みおを引く舟の上にいる
あなたは虹をつみかさね
はだかの
太陽に
しずかにほほえむ
わたしはいつの間にか
あなたを巡る衛星になって
近づけず
離されず
とうとうこうなってしまったか
気が
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