夏のはじまりのヌード/草野大悟2
 
こぼれおちていった色たちを  
奮いたたせることができますか

やわらかなうす水色が
風をふくんで
ゆっくりと 空いっぱいにひろがれば  
あの ぶきみな瞳も
きえるはずです
  
たいせつな たいせつな
夏のはじまりのヌードが
ヒリヒリと溶けていこうとしているのに
なんにもしないのですか
あなたは

しらぬまにモノクロに色づけされる
色たちの叫びに
耳をとざすのですか
それとも
アテナが黄金のペガサスにのって
姿をあらわすときまで
ずっとずっと待ちつづけるつもりですか

けされたはずの瞳が
ほら
もう、嘘をついています  
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