毒のつもり/竜門勇気
 

声すれど口は見えず
雪は積もり日が廻り
外道が軒に湧いて出る
外道は言った
踊れのよだれは甘かった
よう育ったと褒めいよ

舌先が踊る
形而下の植栽
河原でみた汚濁を
薬缶で煮る

便座で育った遅延で
薬缶で煮る
音のない炎で
ゆっくりと丹念に

呼ぶ声ばかり街角に響き
人影を探してまた眠る
くたびれ果てた人影が
また一つねぐらに帰るよ
こんなにくたびれた、ああ
このようにくたぶれた
誰に弁解するのか
ああ、こんなに無茶苦茶では
わからない、なにもかも、無茶苦茶で
こんなにも無茶苦茶では、ああ
ドアも開かないし、ああ
ああ、こんなに無茶苦
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