ワイジェの丘の戦い(七)/朧月夜
 
ファシル・グーゼンとノベル・ハイスは苦戦を強いられていた。
とくに、召喚された五体のワイバーンが厄介だった。
アースランテはこの二年の間に、魔導にも力を入れてきたのである。
ワイバーンたちは、一度に数名の兵士たちを薙ぎ払っていく。

そして、アースランテの戦法にも変化があった。
アースランテ軍は、前衛部隊に弓兵隊を配置していたのだ。
接近戦を得意とするクールラントやラゴスにとって、
これはかなり危険で不利な状況だった。

しかし、ファシルとノベルは善戦した。
四方からの攻撃に対して、兵たちには武器だけを持たせたのである。
「補給はラゴスから受ければ良い。後はなすがままだ」ファシルは言った。

ラジーク・ユーゲル、ファシル・グーゼン、ノベル・ハイス。
これらの千人隊長たちは、部下を率いて勇敢に戦った。
アースランテが有利な布陣を敷いていても、彼らには勝算があった。
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