媚薬エクスプレス/壮佑
 
して行く。未踏の奥地を踏破し、蒼いマグマが太古と未来を掻き混ぜて、海流のサーキュレーションを止める頃、俺の内臓は夢魔のAIに接続される。両極に開いた地球の空洞から黒煙と共に巨大な蝮が這い出て来たら、俺は電網脈管系を出て宿命の天球に侵入する。
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 宇宙の開闢のスイッチを入れろ。日蝕の鍵盤と月蝕のシタールとドゴンの太鼓が鳴り響き、銀色の体液をまき散らしてスピンを加速する星雲状錯綜体。鎖を引き千切ったジャバーウォック獣は天球を支える象の屍肉を喰らい、毒に中ってのた打ち回り果ててゆく。フェイクの天球に建立された神殿の碑石に、ご町内の氏神様の託宣を雷光で刻み付け、ザモラの淫神とダゴスの邪神を従えて、俺は物質の闇を軽々と突破してこの星に帰還する。薄明の空にでかい光跡を残して墜落する隕石が、地表に激突してピンクのキノコ曇を巻き上げたら、俺は世界と肉体に唾して永い永い眠りに就くのだ。




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