即興小詩の集い/宣井龍人
 
と頭を叩く


 【遠陽】
そのとき時間という観念が背後から消えていた
理由は知っていたが理由という言葉ではなかった
歩くという足の動きは私自身なのだろうか
蠢くものや湧き出すものがズリズリする
人であることを通りかかった人と確かめ合った
わからない行先を探す私を遠くから照らし続けていた


 【時の舞台】
寄せては返す波の営み
太古から刻む海の時間
投げかけた視線は月光に溶け
砂に朽ちた足跡に命が宿る
幾つもの影が立ち上がり
向き合い抱き締め合う
夜と過去に訪れた交錯の舞台
海は呼吸を止め大きく静止する
ついに永遠を手に入れたのか
七つの音が月光を舞い始めた
お や す み な さ い
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