忘却の彼方/坂本瞳子
 
忘却の彼方へ
なんてそんな言葉を言ってみたかった
それだけのことだ
そんなところへ行ってみたいとも思う
どこにあるのかなんてまったく想像がつかない
なにもかも忘れてしまう
そんなことだろうか
そしたらなにが残るんだろうか
自らを認識できるのだろうか
そんなこと考えるとむしろ不安が大きくなる
しかも考えてみるだけで結局はなにもしないんだから
意気地なしめ
忘却だなんて格好つけた言葉を使ってみても
ただそれだけのこと
たったそれだけのことなんだ
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