クライテリア殉教/あらい
幾ら足掻いても檻の中、
箱庭に飼い慣らされた籠の鳥でしょう
みんな己ばがりがそこにいることは変わりがないのに
喚き散らしてみっともないわね、
どうせ誰も振り向かないで欲しいと思っている。
憐れみや同情で気を引くぐらいなら、
私はわたしを喪い、あなただけのモノに成り下がる
センチメンタルな前日は皺ひとつない筋書きに足を踏み入れ
大急ぎで参道を駆け抜けた ネグリジェのときを、ゐ抱く
幼少に戒めを授けるような群青色の樹木が辱めるようにわらい、
秋の深み その乱れた髪、無秩序な月白と静けさが臭気に充ちる
貧弱な大役を薬指と置かれる道すがらに深窓のランプを吊り下げては
気の赴
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