big jet plane/mizunomadoka
 

スーツケースに引出物を乗せて
川沿いを押して歩く
息が上がってマスクを外す
他に誰もいないから

小高い丘に時計台が見える
高2から一年半
電車通学のあなたを送って上った坂
町の中心部ではなく
外れの丘に建てられた駅舎は
梅と梅酒を愛する
当時の市長の肝いりだったらしい

市内までのチケットを買って
無人の改札を通り抜ける
ホームの柵越しに
紅色の梅園がみえる
「やっぱり次の電車にする」って
時間に抗ったベンチもそのままだ
ずっと恋をしてたかった私たちは
いなくなったけど

あなたのスピーチを思い出す
結婚式に死ぬときの話なんて
でも私も誰かにキスしてもらって
好きだよって言われながら死んでいきたい

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空港発19時05分の最終便
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「こっちはまだ寒いなぁ」
体温が風と一緒に流れてく






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