Thumbs up/服部 剛
 
僕は親指を立てて
あなたの顔に、見せる

しばらく忘れていた
Thumbs up の合図を
あなたに
僕に
この夜に

フェイスブックに
ツイッターから
インスタグラムまで
誰かの反応に飢えていたから
たくさんの「いいね」も嬉しいけれど

今夜
僕等の間で生まれる
リアルな Thumbs up ほど
嬉しいものはない

産声を上げた
あの日から
誰もが Thumbs up な命
だった

二〇二二年の寒い春を生きる僕等が
少々タチの悪い風邪にマスクをしながら
尺度の無い情報に振り回されて
自らの内に宿す
歓びの根源を忘れませんように


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